奄美大島に移住
ありきたりの家で生まれ育ち、普通の食品会社に就職し、料理人さん達を相手に営業したりしながら数十年。20代で普通に結婚し男児に恵まれましたが、その数年後には修羅場のあげく離婚・・・。
独り身になって、せせこましい都会でコマネズミのように働いている間に、気がつけばもう50代。ふと、このまま喧騒な灰色の街の片隅で独り寂しく老人になり死んでいくのかなと思うと、いつもは感じたことない孤独感と焦燥みたいなものに胸を締め付けられてしまいました。
ある日突然都会を捨てようと決意
我ながら唐突でしたが「田舎に引っ越そう」そんな想いが頭を支配していました。首都圏で数十年生活していながら、僕は都会に対する愛着みたいなものはゼロで、むしろ(こんな所に一生いたくない)という気持ちが常に心のどこかに常駐していたのです。
流行りのIターンというものが、実は成功例と同じくらい失敗例も多くて、都会の人間がやすやすと暮らせるほど日本の田舎暮らしは甘くないという事は知っています。
田舎の人は素朴で良い人ばかりというのは、ただの幻想にすぎないという事くらい分かる年齢に僕はなっていました。想像を絶するほどの不便さもあるでしょう。
(それでもいい)
(都会でそうしていたように、無理して周囲に溶け込もうとせず適当な距離感を持って自然体で生きるなら、日本中どこで暮らしても同じに違いない)
(とにかく都会を捨てよう)
(都会暮らしの便利さを諦める覚悟はあるし、移住先では都会人独特の理屈は絶対に口にしない)
(でしゃばる事なく静かに暮せばいい)
(還暦を過ぎればもう移住などする気力はなくなるかも知れない)
(今が最後の機会だ)
(行こう)
魚山人という板前さん
東京オリンピックの開催が決まったことで、加速度的に暮らし難い街へと変貌して喧騒さが際立つ息苦しい都市で、(オリンピックの年までには行き先を決めないと)そう思いながら、なかなか移住先が決まらず困っていました。
深刻な相談ができる相手はそう多くはないものですが、僕の場合は相談相手は決まっていました。20年ほど前、仕事の関係で知り合った和食屋のご主人です。
年齢が近いこともあったのか、お得意先と業者という関係を越えて意気投合し、それ以来さんざんお世話になっていて、僕が一番信用している人です。その人が後に手前板前というサイトを運営する事になる魚山人さんです。
魚山人さんがブログを始めて10年近く経った頃、僕に「サイトの管理をしてくれないか?」と頼んできました。多忙すぎるからか、自分はもうタッチ出来ないと。
「とんでもない、パソコンのスキルは無いしネットの知識も全然ない僕にはできません」と断ったのですが、「こういう事は信頼できる相手にしか頼めない。やってくれ」と押し切られました。
それ以降、魚山人さんやマル子さんは板前サイトに殆どノータッチ。閲覧は時々していると思うんですが・・・
かといって不慣れな僕が出来る事はあまりなくて、たまにネットで勉強しながらサイトの手直しをするくらい。
メンテナンスと言っても、魚山人サイト+マル子ブログはあまりにもページ数が多く、整理することもままならず。自分の仕事もあるしで、申し訳ないと思いつつ板前サイトは半ば放置状態でした。
それでもまあ、僕がやらないと魚山人さんは惜しげもなくサイトを閉鎖してしまうのは間違いない・でしょう。それは流石にやめてもらいたいし、サイトを見てくれる人がいる間は僕が管理するしかない。
僕が『管理人Y(旬爺)』と名乗るのはそういう理由からです。
その魚山人さんに移住の件を相談すると、「賛成。行き先は沖縄か奄美にしとけ」と即答。
まるで相談内容を知っていて答えを用意してあったような早さ。この人はいつもそうです。
「沖縄は人口増加率が異常で最近少し活気がありすぎる。まあバブルと言っていいんじゃねえかな。うるさくて住み難くなるのは目に見えてるし東京から離れる意味がないから沖縄はやめておけ。静かな奄美大島に決まりだな。ハブには咬まれないようにしろよ」
雨の奄美空港
それから半年もしないうちに、僕は鹿児島県の奄美市に引っ越すことになりました。準備をすべて終了し、小雨の降る奄美空港に降り立ったのは東京オリンピックまで5年を切り、平成も残り少なくなった年です。
あいにくの雨模様で、海の色も暗く、残念
ふと後ろを見ると、鳥がいました。
カラスが出迎えてくれたのかと思いましたが、よく見るとイソヒヨドリのようです。
奄美は希少な野鳥がたくさんいますので、それも楽しみです。
これから、ほとんど右も左も分からない土地での生活が始まります。まずは奄美の市街地、名瀬に落ち着いてから、暮らしの環境整備を少しずつ進める予定です。独身なので食べていける程度に最低限の生活用品を揃えればいいので楽です。
動画やSNS全盛のいまどきにブログというのもなんですが、ここでは僕の身の回りの出来事や奄美の事を書いていくつもりでいます。日記でありませんので時系列はバラバラです。歳月が突然飛んだりします。それでも興味を持たれた方は、ときどき読みに来てくださると嬉しいです。
奄美市名瀬の海岸2選
夕方の朝仁海岸
大浜公園
Posted by 旬爺 at 2020年